「ぼうじぼ」
栃木県塩谷地区に伝わる「ぼうじぼ」。
それはそれは美しい日本の秋を感じさせる、そんな季節になって参りました。
【ぼうじぼづくりの巻】
こどもたちは、年配のエキスパートな方々といっしょに「ぼうじぼ」という藁(わら)の鉄砲をこしらえる。
一掴みの藁を束ねることは出来ても、取っ手の部分の藁をなることは経験がないとそうは出来ない。
もっと言うと、教えてもらってもちょっとやそっとで、きっちりとよじって仕上がるものでもない。
だが極論すると(唐突に極論するなよ)、こどもたちが自分で作ったものは、例え出来が悪くても必ずしも素敵だ。
念のために付け加えると、タマが発射される構造ではない。引き金もない。
【ぼうじぼ・十五夜、十三夜の巻】
こどもたちは、「ぼうじぼ」で地面を叩いて(害虫を追い出す意)、
十五夜と十三夜の夜に「ぼうじぼ当たれ、三角ばたけにソバ当たれ!」と唄い、近隣を練り歩く。
「当たれ」とは「豊作であれ」であり、「三角ばたけにソバ当たれ!」は「土地の狭い畑でもソバがいっぱい実れ」ってことだ。
そして、こどもたちは家々で、お小遣いやお菓子をもらうというものだ。
今時はそれが簡略され、地域のこども育成会主催で催され、
集まる場所や各家の負担する金額も一律低くおさえられている。
スキ有らば、自分もこどもたちに混じって参加したいですが、バレますかね?
お月見と収穫感謝と、翌年の五穀豊穣の願い。
アメリカだとサンクス・ギビング&ハロウィンってところでしょう。
まんまと、お菓子やジュースをゲットして帰還した、こどもたち。
大人になったときに幼少期を振り返り懐かしむ琥珀色のエピソードとして、残してあげたい「ぼうじぼ」。
使い終わった「ぼうじぼ」が庭の柿の木にかけてある風景こそ、わびさび日本の秋のシーンであるのだ。