「蘇ったアトランティス・ツーリング」

 

 

休日。妻は仕事に出た。こどもらも遊びに出かけてしまった。

そこで私はと言えば、

昼食をカップヌードルと洒落込んだあとに取り掛かる計画の仕事があった。

そう、自転車小屋に放置されている1981年(23年前)に購入した愛車・ブリヂストン アトランティス・ツーリングの完全復活だ。

これは当時\108,000もした自転車だが、高校生の私の血と汗と鼻くその結晶のバイト代で買ったもので、

決して親に買ってもらったモノではないことを強調してみたりして。

それにしてもサビがひどく、近年、室内保管しなかったことがとても悔やまれた。

サビ固まったハンドル・ステムを力づくで抜き出すためには、

火星人の断末魔のような騒音を近所中に巻き散らかす事となった。

 

しかし、FPボルドーレッドの味わいのある輝きは蘇った。しめしめ。

 

こいつ(愛車をなぜかこう呼ぶもんだ)は、北海道一周を2回もつきあってくれた。

分解してショルダーバッグに収納し、電車での移動で行動半径を広げる「輪行」ツーリングも何度もやった。

駅前で手際良く組み立てをしていると、珍しそうに話し掛けてくる人がよくいた。

自転車旅行は、地形を体で覚えてしまう。

真夏でも雪と出会う標高差のとてもきつい峠。

なだらかな麦畑の丘の上にある街。という具合だ。

 

こいつは車種としてはランドナーという旅行車だ。

オール・クロモリ・フレームでコンチネンタル・カット・ラグ。皮サドル。スギノTAタイプ・チェンリング。リム・ドライブ・ダイナモ。クイックレリーズ・ハブ。

などというキーワードに心ときめかせたものだが、今や誰も反応しないだろうな。

 

蘇った愛車をながめて、ロックでジンを飲む格別なひととき。(ワインを切らしたため)

また、自己満足の世界の1ページが加わった。

 

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